ハンドメイズ・テイル第6話「女の領域」レビュー考察(ネタバレ)メキシコは何の交渉のために訪れたのか

ハンドメイズ・テイル

出典:「The Handmaid’s Tale」(原題)(C)2017 MGM Television Entertainment Inc. and Relentless Productions LLC. All Rights Reserved.

ハンドメイズ・テイル第6話は侍女たちが暮らす国ギレアドにメキシコからの通商代表団が訪れる話。
オブフレッドが暮らす家の司令官は実はかなりの大物政治家のようで、国を代表しているような立場にあるようだ。
メキシコ代表団はオブフレッドが暮らす家に訪れて食事などのもてなしを受けることになる。

本話のタイトルは「女の領域」となっているがこれはセリーナ・ジョイが昔書いた書籍の題名。本話では司令官とセリーナが結婚したばかりの頃の回想シーンが描かれる。

ギレアドの侍女システムに興味津々のメキシコ

メキシコ代表団が家を訪れ、オブフレッドに質問をする。
人間に子供を産む能力がなくなっているのはギレアドだけではないため、メキシコ代表団はギレアドの侍女システムに興味津々。
「自分から望んで侍女になったのか」「今幸せか」というような質問を受けたオブフレッドは戸惑いつつも本心を偽る。

この時のオブフレッドの答え方があまりにも無理矢理答えている感が出過ぎていて、このようなデリケートな問題の質問なのにも関わらずこの言葉をそのまま信じる人もどうなのかなと感じた。
本話の最後でメキシコ代表の女性とオブフレッドの会話シーンがあるが、そこで少し疑問が解けた。つまりメキシコ代表としては、オブフレッドのこの時の言葉が本心でも本心でなくてもどちらでも構わないということだったのかもしれない。

かつてのセリーナが理想としてた社会とは違う?

かつてのセリーナは政治的な活動家として暴動を扇動し逮捕されたことがあった。
その頃の著書が「女の領域」だが、メキシコ代表団から、女性たちがセリーナの著書すら読めなくなった今の社会を予想していたのかと指摘され、答えを詰まらせる。

このやりとりから想像されるのは、少なくとも今の社会のあり方はセリーナが理想としていた形とは少し違っている(おそらく行き過ぎている?)ということなのではないだろうか。
活動家だったかつてのセリーナは司令官とともに建国の中枢にいたはずなのに、いつしか女性だという理由だけで中心人物として関わることができなくなり、もどかしさを感じている様子が回想シーンとして描かれている。

映画館で攻撃実行日のメールを受け取るという不自然さ

回想シーンにおいて司令官とセリーナが当時の国をひっくり返してギレアドを建国する活動をしていた頃の様子が少し描かれるが、この海外ドラマ特有の違和感を感じるのは、驚くほど軽い感じで活動していることだ。

会議で疲れて帰ってきた司令官。セリーナに慰められて二人で映画を見に出かける。映画館にいるときに携帯にメールが入って「攻撃実行」の日取りを知る。
映画館内での軽い会話の中で、セリーナは生殖能力を国家資源として考える自身の論文のアイディアを話し「名案だよ」と言われて笑顔になる。

うーん・・・まるで社会人になりたての男性と、大学院生の女性のカップルのデートみたいじゃないか。
そもそもFBIにマークされている政治的な活動家が、こんな深刻な会話を映画館の中で、多くの人がすぐ近くに座っている席のど真ん中でするのだろうか?
このふたりの重要人物の振る舞いには不自然さを感じずにはいられない。

相変わらずなぜかモテているオブフレッド

ハンドメイズテイルの前話からの流れ通り、オブフレッドは二人の男性からやたらモテている。
運転手はもう完全にオブフレッドの虜になっている状況で、家の中で会うたびにオブフレッドとベタベタしたがる。
オブフレッドが何を考えているのかは分からないが、運転手を利用しようとしているのかもしれないし、自分もまんざらでもないのかもしれない。

司令官の部屋でも、オブフレッドが司令官の話を聞いてないと司令官はヘソを曲げるが、オブフレッドが素直に謝ると司令官はいい気になってすぐに許し、オブフレッドにキスするように要求。もはや司令官もオブフレッドに惚れてると言って過言ではないのではないだろうか。

面白いのは、司令官とキスした後のオブフレッドの歯磨きの勢いである。
歯磨き映像としてここまで迫力のあるものはこれまで見たことがない。笑
表情や顔の振り方など、とても面白いので一見の価値ありだ。

メキシコに輸出するのは食料ではなく侍女

オブフレッドはメキシコ代表団とのパーティーの席で他の侍女から衝撃的な事実を知らされる。
メキシコ代表団は食料などの交渉で訪れているわけではなく、ギレアドから侍女を輸入するための交渉に訪れているというのだ。

衝撃を受けたオブフレッドはメキシコ代表団に対して自分が「望んで侍女になった」「幸せを見出した」などと本心を偽ったことを後悔する。

メキシコ代表団に実情を訴えるオブフレッドだが・・・

翌朝すごいベストタイミングでメキシコ代表の女性が司令官の家に訪れ、オブフレッドと顔をあわせる。
他に誰もいないというなんとも都合のよいシチュエーションとなり、オブフレッドは自分の本心や実情を打ち明ける。

捕らえられて侍女にならされ、逃げることもできず、逆らえば残酷な罰を受け、娘も奪われたという事実。
しかしメキシコ代表女性は同情しつつも自分たちは力にはなれないと告げる。
女性の出身地では何年も子供が生まれておらず、国が滅びつつあるため、侍女を輸入する必要に迫られているという。

オブフレッドは諦めかけるが、メキシコ代表団のひとりの男性がまさかの事実を告げる。
なぜこのメキシコ人男性がこんなことを知っているのか、実に面白い展開になってきたものだ。
ちなみにこのラストシーンでバックに流れている音楽。このラストシーンにマッチしていてとても素敵だ!


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