ウォーキング・デッド8 第12話「生き残る鍵」レビュー(ネタバレ)崩壊寸前のニーガン軍と未来への鍵を手に入れるヒルトップ

ウォーキング・デッド8

出典:ウォーキング・デッド シーズン8|FOX|FOX ネットワークス
© FOX Networks Group Japan All rights reserved. / © 2018 BS-FOX

タラ達を助けるために見せかけでニーガン軍に戻ったドワイト坊やにニーガンがビールを届ける。間一髪のところをよく戻って来たと労う言葉をかけているのだがどこか含みがあるように見えてしまう。

ニヤニヤしたこの男の話し方は、いつもあらゆることに実は気がついていて、例えそれを指摘しなかったとしても意図的に見逃しているだけで、相手よりも自分が優位にあることを仄めかしているかのように見えるところが人を従える強さの秘密なのではないだろうか。
人を従えるやり方云々は置いといて、とりあえずニーガンは人の上に立つ器なのだ。

もう迷わないことを心に決めたリック

ヒルトップに戻ったリックは仲間たちと再会する。
ダリルはリックの命令を聞かずにフライングして聖域を攻撃したことを弁解しに来るが、この時リックはもう完全にダリルの考えを支持する側に立っていた。

少し前まではニーガン軍に降伏を促すことを考えていたリックだが、息子のカールが死んだことによりリックの心は復讐心に支配されていたのだ。
リックは仲間のことだけを心配し、ニーガン軍とは最後まで徹底抗戦することをもう心に決めているようだ。リック自身も、これはカールが望んでいたことではないと知っているのにも関わらず、である。

最初だけやり過ぎでその後中途半端になったニーガン

このドラマを見ている視聴者は、ニーガンが優れた人物であり、むしろリックよりもリーダーにふさわしい器なのではないかとも思っている人も多いのではないだろうか。しかしリックたちは此の期に及んで一切ニーガンに従うつもりは無いようだ。

ニーガンは器の大きな人間かもしれないが、やり方が間違っていた部分も多かったということだろう。最初にビビらせれば後は従うという考え方のニーガン。しかしあのシーズン7第1話でやったことは完全にその限度を超えていたのだ。

ニーガンに従うくらいなら死んだ方がマシだと思っている人々

例えば以前の王国のように単に税率が高いという状態であれば人間は従って行く気持ちにもなるかもしれない。
しかし、仲間を無残に殺された恨みを晴らすためなら、自分の命など捨てても構わないというのが普通なのかもしれない。
マギーにしろロジータにしろ、愛する人をニーガンによって目の前で無残に殺されたが、その恨みを胸に抱えたままでニーガンと共に生きていくなんてことが出来るわけがない。

絶好のチャンスを見つけたリックがドンピシャで突進

ニーガン軍の侵攻を街の外で監視していたリックは、一行の中でニーガンだけなぜか車に一人で乗っていることに気がつく。
復讐心により熱くなったリックはクラクションを鳴らして仲間に知らせるのをやめ、ニーガン軍の車の隊列の中へ狭い路地からニーガンの乗った車へドンピシャで追突する。
このタイミングがまあありえないタイミングなのだが・・・まあそれは良しとしよう。

何台も車がある中でリックはまんまとニーガンの車だけ別の道に逸らすことに成功。個人的にはここでもっとカーチェイスをやってくれると面白かったのだが、シーンが切り替わった時にはもうニーガンの車は事故って転がっていた。

豪快なようでツッコミどころだらけな決闘シーン・・・

リックはライフルを惜しみなくぶっ放しながら車から走って逃げるニーガンを追うが、惜しみなくぶっ放し過ぎたせいでまんまと弾切れになってしまう。
本当にこの男はどうしていつもこうなんだろう・・・
そしてなぜニーガンは銃を持っていないのだろう?相変わらずバットだけ持って逃げるニーガンだが、銃のひとつくらいは腰のあたりに装備しておいてもよさそうなものだ。

廃墟ビルの中に逃げ込んだ後も圧倒的にリック有利な状況が続くが、暗闇の中でダラダラと話したりしてなかなかニーガンを仕留められない。
終いにはリックは嫌がらせのつもりかニーガンのバットに火をつけ、さらに閉じ込められていたウォーカーを出そうとする。
自分も一緒にいる狭いスペースに大量のウォーカーを放とうとするこの愚行・・・

なぜか異様にバットを大事にしているニーガンはバットを取り返すためにリックに突進してくる。
それにしてもどうしてニーガンはこのバットをそこまで大事にしているのか?話しかけたりして人間として扱っているようにも見える。
過去の恋人の分身のように思っているのかもしれないし、自分が本当に信頼できる人間が誰もいないのでバットを心の拠り所にしているのかもしれない。

突進してきたニーガンと放たれたウォーカーたち。案の定その場はぐっちゃぐっちゃになり、その隙にニーガンは外に逃げて行ってしまう。
それにしてもリック・・・まったく何なんだろうこの男。派手な演出は控えてもう少し冷静に行動できないのだろうか。

未来への鍵を持った頭のよさそうな新規登場人物

一方、ヒルトップのマギーやミショーンたちのところには、ジョージーと名乗る女性が会いに来ていた。まるでハリセンボンの春菜さんのようなこの女性、ひさびさに新規の重要っぽい人物の登場だが、マギーたちの持っている食料と音楽を、彼女が持っている知識と交換しようと持ちかける。
そして彼女が持っている知識というのは未来への鍵となるものだという。

カールの生き方を思い、マギーは正しい選択をする

マギーは疑い、一時はジョージーたちを拘束するものの、結局ミショーンに説得されて取引することを決める。ミショーンはカールの生き方に強く影響を受けているようだ。
疑って拘束した時点ではジョージーたちの持っている食料を奪おうと考えていたマギーだが、取引することを伝えるとジョージーは自ら食料を渡してくれる。まるで金の斧銀の斧の話のようだ。
さらにジョージーは未来への鍵と言って、風車の建築計画、水車などの設計図、穀物の精製法などが書かれたノートを渡してくれる。

これらは中世の人々が成し遂げて来た功績だが、この時代に最も役立つ知識とも言えるだろう。
ウォーキング・デッドのシーズン7から8は本当に暗いばかりで気が滅入るような話ばかりだったが、ここに来てようやく少し先への希望が見えたのではないだろうか。
ニーガン軍も下克上を狙う部下により崩壊しつつあるし、ウォーキング・デッドはここからようやく前向きな動きがありそうだ。


関連エントリー

Pagetop