映画「メッセージ」あらすじと感想(ネタバレ)噂通りの良作SF映画

映画「メッセージ」

出典:映画.com

近年のSF映画として非常に高い評価を得て名作と言われている「メッセージ」実際に観てみた感想としては確かに面白い映画だった。全体的に派手狙いでもなくてお涙頂戴でもなくて、シリアスで、かつ地味すぎず、バランスのよい作品なので高評価にも頷ける。
雰囲気的には「ゼロ・グラビティ」や「インターステラー」あたりが好きな人にはおすすめできる作品だ。

映画「メッセージ」あらすじ

映画「メッセージ」

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主人公は言語学者のルイーズ・バンクスという女性。大学で言語学を教えている。
ある日突然世界の12箇所に宇宙船らしき流線型?の物体がやってくる。
世界中で騒然となり、それへの対処法が検討される中、軍からの依頼でルイーズが宇宙船の中に入っていって宇宙人とコミュニケーションをとる方法を模索することとなる。

エイリアン(ヘプタポッド)と会話することはおそらく無理だと早々に気がついたルイーズは、ボードに文字を書いて身振り手振りを交えてコミュニケーションをとる方針へ転換。
するとペプタポッドも壁に墨のようなものふ吹きかけて彼らの文字のようなものを表してきた。
そして研究チームは、吹きかけられた墨の形の違いを解読し、次第にペプタポッドの言っていることを理解できるようになる。

翻訳の誤解が原因で宇宙戦争が起きそうな事態に

研究チームや軍はペプタポッドが来た目的を聞くことを第一の目標としていたが、ある時ペプタポッドの発言の中に「武器」という言葉があったことから、彼らが武器をもたらして地球上に戦争をもたらすことを疑いだす。
世界の他の国々でも似たようなことがあり、これまで連携して研究を進めていた国が、他国を警戒して通信を遮断してしまう。

そしてとうとう中国がヘプタポッドへの宣戦を布告。ロシアなどの国もそれに続き、流れは宇宙戦争へ突入する絶望的な事態となっていく。
そのような土壇場の中、ルイーズはついにヘプタポッドの言語を理解することに成功。
ひとりで宇宙船の中に乗り込み彼らと会話する。
そして彼らは、遠い未来に地球の人類から助けられることになるため、今地球の人類を助けに来たのだと知る。

ヘプタポッドを理解して未来が見えるように

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彼らが地球の人類にもたらす武器と言っていたのは実は武器ではなく「道具」を表し、それは彼らの使う言語のことだったのだ。
ヘプタポッドにとって時間とは流れるものではなくそこに存在しているもの。
彼らの言語を理解することにより彼らのことを深く理解したルイーズは、彼らのように未来を見ることができるようになっていた。

世界が宇宙戦争に突入するその間際、未来が見えるルイーズは、未来に自分が中国の将軍から伝えられる電話番号を知る。中国は通信を遮断していたため軍から連絡することは出来なくなっていたが、ルイーズが中国の将軍の携帯電話へ直接電話して説得することに成功。中国の宇宙船への攻撃開始は土壇場で中止され、宇宙戦争は免れることとなった。

ルイーズが見ていた夢は未来の記憶だった

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物語の合間にルイーズが夢?で見ていた自分の子供との記憶。
てっきり彼女は以前結婚していた時代があってその頃は子供がいて、そしてその子供は病気で亡くなったのだと思っていたが、これはルイーズがヘプタポッドの言語を理解することで見ることができた自分の未来の出来事だったのだ。

夢の中で結婚していた相手は、一緒にヘプタポッドの研究にあたっていた物理学者のイアン。
イアンは中国の開戦を思いとどまらせることに成功したルイーズにプロポーズする。
ルイーズは彼との結婚生活が悲しい結末となることを知っていたが、その運命を受け入れ彼と結婚し子供を作る約束をするのだった。

でもそれはどうして?
今現在イアンを愛してしまった自分の気持ちに嘘がつけなかったから?
それとも、未来で愛していた自分の娘にひとめ会いたかったから?
または、未来は変えることができないということ?

(ツッコミ)どうしてエイリアンというとタコやイカ?

どうして宇宙人とかエイリアンというと、タコやイカみたいな形の生物にしてしまうのか、本当に不思議。
もう少しオリジナリティのある新しい宇宙人像はないのだろうか?

今回は人間のために素晴らしいギフトを持って来てくれた宇宙人ヘプタポッド。
宇宙船を見ても非常に洗練されてるっぽい形をしていて、高度な技術を持つ文明的な生物であることがうかがえる。
宇宙旅行をしている時点で少なくとも人間よりも文明が進んでいる生物なのでは?

それなのに、ヘプタポッド自体の形があまりにも原始的。
仮にタコやイカみたいな生物が進化したとして、もう少しなんとかならないのだろうか?
タコやイカが進化するとこうなる!みたいなのを示してくれてもいいし、せめて服や装飾品のようなものを身につけているとか、高度な道具っぽいものを携帯しているとか・・・とにかくヘプタポッドが原始的に見えて仕方ない。

ヘプタポッドが無策すぎるのはなぜ?

ヘプタポッドは地球人にコンタクトをとるために地球にやってきたわけで・・・
それなのに、来たはいいけど自分たちは奇妙な唸り声をあげているだけで地球人の言葉を理解する試行錯誤をしているとも思えない。
これでヘイーズがなんとかしてくれなかったら一体どうするつもりだったのだろうか?

そもそもヘプタポッドは自分たちからわざわざ地球に乗り込んで来た。
つまり偶然地球に漂着したわけではなく、もともと地球人の存在を知っていたのだ。
それならもうちょっと予習してきてもいいのではないのか?

無策に唸り声をあげていて、そのうち本当に怒りっぽい地球人に攻撃される可能性は考えなかったのだろうか?
ただ来るだけじゃなく、きちんと作戦を考えてからやって来てほしいものだ。
・・・しかし、ここまで書いたことを覆す反則技がある。
それはヘプタポッドはすべて知っていたということ。つまり別に彼らが何もしなくても、ルイーズがやってきて勝手に自分たちの言語を理解し出してくれるという未来を知っていたのだ。笑

未来を見れるのはルイーズだけ?

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物語の終盤で主人公のルイーズがヘプタポッドの言語を理解することで未来を見ることができるようになるが、ルイーズは別に超能力のようなものを持っているわけではなく、ただ優秀な言語学者というだけだ。
つまりヘプタポッドの言語を理解できれば誰でも未来が見えるようになるということ?

未来が見えるというメガトン級のおまけがあるのであれば、多くの人がヘプタポッドの言語について学習を始めることだろう。未来なんて見たくない人もたくさんいるだろうが、それでもヘプタポッド言語の登場によって地球のあり方は大きく変化するだろう。
つまり今の地球の文明や人間の生き方はすべて未来は分からないという根本的な原則の上で成り立っているものだと思うし、それは地球の危機とかの大きな問題以外にも、それは個人の日々の生活に大きく関わり、根本的にすべてを変えてしまうほどの影響がある。

ルイーズが見ていた未来の記憶、つまりルイーズが娘と生活しているシーンや、ルイーズの祝賀パーティ?の様子が、現在の地球とそれほど様変わりしたように見えないあたりには、このメガトン級のギフトの影響力に関する違和感を感じた。

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