HOMELANDシーズン7 第1話「国家の敵」レビュー(ネタバレ)早くも周りを見ずに突っ走るキャリー

HOMELANDシーズン7

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前回の壮絶な最後からついに始まったHOMELAND(ホームランド)シーズン7。
シーズン6の終盤ではとっても強そうなおばさん大統領キーンの命が狙われ、そのとばっちりで200人もの人々が拘束される事態となっていた。
キャリーの師匠ソールも無実の罪で拘束されている一人だった。
このHOMELANDシーズン7は前シーズンの流れをそのまま引き継ぐ形で始まる。

人気者クインに用意された最後の花道

キーンは暗殺の危機からクインとキャリーによって救い出されたが、クインは大統領を守るために全身に銃弾を受け死んだ。

キャリーに次ぐ主役級登場人物だったクインが死んでしまったのは信じられない事態だったが、シーズン5の後遺症でクインは障害をかかえた身体になっており、以前のような超優秀なスパイとしての活躍は期待できない状況だったために、スパイものドラマ登場人物であるクインにはあのような最後がもっとも華々しかったようにも思える。

重要人物がなんとも虚しく惨めな最後を迎えるようなドラマも多いなか、あのようなラストステージを与えられたクインはドラマ製作者からよほど気に入られていたという考え方もできるだろう。

24のトニーのようにいつか復活したりして・・・?

ただ、HOMELANDを作っているのはあの24(TWENTY FOUR)の製作スタッフらしい。
24ではジャックに次ぐ重要人物だったトニーが、死んだと思われていたのに、後のシーズンでまさかの復活をとげた。

HOMELANDでもいつかクインが復活するようなことはないのだろうか。
ファンとしては期待したいところではあるが、HOMELANDは次のシーズン8で終了する予定らしい。残された時間はそれほど長くはない。

怒りが収まらない様子の強面おばさんキーン

おばさん大統領キーンは側近の忠告も聞かずに独裁的な政治を続けていた。
前回クインが死ぬことになった発砲の直接の命令を下したマクレンドン中将には死刑を求刑し、関与の疑いのかかった200人もの人々を拘束したままで、側近からも市民権を侵害していると心配されていた。

キーン自身が「私たちをナメるなというメッセージを送った」と語っているが、自分を狙った的に対する怒りや復讐心によってかなり感情的になってしまっているように見受けられる。

それにしてもこの大統領キーンはいつ見ても恐い顔をしている。
背も高くて迫力があり、大統領役としてまさにハマり役。よくこんなぴったりな女優さんを見つけてきたものだ。笑

相変わらず過激さでは右に出るものがいないキャリー

前シーズンで一時はキーンのアドバイザーとして信頼関係を築いていたキャリーだが、その後キーンとは決裂し、現在はキーンとその首席補佐官ウェリントンの市民権侵害を阻止するために密かに動いていた。
キーンと対立関係にあるペイリー議員に接触し、キーンに不利なネタの証言者と引き合わせる計画をすすめる。

待ち合わせ場所としたホテルのロビーで待機していたキャリーは、証言者が何者かに尾行されていることに気づく。キャリーはホテルマンに「あの男が【アレ】を丸出しでトイレの前に立っていた」と嘘の告げ口をして尾行を妨害する。
さすが過激さでは誰にも負けないキャリー。とっさによくこんな過激な嘘を思いつくものだ。尾行していた男が気の毒になる。笑

走り出したら周りが全く見えなくなる一貫した性格

キャリーと証言者はホテルから脱出し別の場所でペイリー議員と会うことにする。
しかしまたしても相変わらず走り出したら止まらない女キャリーは、今日会う予定の相手がペイリーだということをまだ伝えてなかった。
そのことでキャリーと証言者がもめているところにペイリーが到着してしまい、結局証言者もペイリーも怒って帰ってしまう。

キャリーはこのドラマが始まった当初からずっと双極性障害という病気と闘っているが、このように回りを見ずに突っ走ってしまうような性格はこの双極性障害と何か関係しているのだろうか?
この性格によって失敗することが多いキャリーだが、ごくまれにこの極端に鋭い勘によって大活躍することもある。
シーズン1から性格が全くブレない設定は非常にクオリティが高いドラマだと言えるだろう。

厄介な妹を支え続ける姉マギーの人間力

自分のことや家族のことより国家のことを心配するキャリーは、この面会作戦のために姉の娘に協力を頼む。
そのことが姉にバレて姉や姉の夫と口論になるが、この姉も相変わらず優れた人間だ。
感情的になって姉夫婦を批判するキャリーの病気のことを心配し、病院に行くように諭す。
そして姉夫婦への批判は見逃すが子供を巻き込むのは許さないと伝える。

キャリーは本当に妄想を抱いておかしな行動に突っ走る傾向が頻繁にあるのだが、しかしそれが妄想ではなく本当に的を得ていることがあるのが厄介なのだ。
このような厄介者を長きに渡り支え続けているこの姉の人間力は大したのものだと思う。
普通だったら例え姉妹であっても縁を切りたくなりそうなものだ。

思えばこのドラマ、シーズン1からずっと出続けている登場人物ってキャリーとソール以外にマギーだけじゃないだろうか?他に誰かいたっけ?

今にも襲いかかってきそうな不敵な面構えのマクレンドン

マクレンドンは逮捕され刑務所で身体検査を受けていた。
服を脱ぎ身体のすみずみまで何か隠し持っていないかをチェックされるマクレンドン。
その不敵な面構えはプリズンブレイクのティーバックの印象があまりに強い。
よくあるスパイものの海外ドラマだったら間違いなくマクレンドンはいきなり部屋にいる数名の警察官に襲いかかって倒してしまうことだろう。
だがこれは大人のためのスパイものドラマHOMELAND。そのような展開はなくティーバック(ではなくマクレンドン)は大人しく検査を終える。

だがここでまさかの展開。部屋にひとりになったマクレンドンは突然苦しみ出し倒れ息絶える。
口の中を検査した時警察官がはめていた手袋に毒が塗ってあったのだ。
その様子をモニターで警察官が確認しているシーンで第一話は終わる。

さて、マクレンドンを暗殺した犯人は誰なのだろうか。
キーンはマクレンドンに命を狙われ、彼の極刑を望んでいたが、彼女が黒幕という可能性は低いだろう。
今は感情的になっているものの、そのような罪を犯すタイプではない。
おそらくマクレンドンは前回のキーン暗殺関連の黒幕により、何らかの口封じ的な目的で殺されたと考えるのが自然な流れなのではないだろうか。


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