映画「ハクソー・リッジ」レビュー（ネタバレ）戦争の英雄の素晴らしい人柄を描いたキラキラ映画
ハクソー・リッジという映画を観た。面白そうだと思ってポイントを使ってしまったのでとりあえず最後まで観たが、結論から言うと残念ながらこのレビューはディスり記事なってしまった。
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
このハクソー・リッジという映画について簡潔に言うと、戦争で英雄扱いされた人を題材にして戦争自体もなぜか美談にすりかえてしまうアメリカ特有のキラキラ映画である。アメリカ映画で非常によくあるパターンの作品で、戦争映画だけでなく宇宙からの侵略に立ち向かう戦士とかが主人公のフィクション映画にも通じるところがある。
映画の前半は若い青年ドスが地元で恋に落ちてプロポーズし、その後陸軍に志願して入隊するが、彼の信念に従って衛生兵のみの役割を希望して武器を一切触らずライフル等の訓練には参加しない。
これによって周囲との軋轢が生まれるがすったもんだの末になんとか認めてもらって沖縄の戦場へ向かう。
沖縄のハクソー・リッジと呼ばれる場所での戦争シーンが意外と長くてなまなましい描写になっているのだが、主人公ドスは激戦の中で多くの負傷した仲間を助け出し、最後は自分も重傷を負うがこんどは仲間に助けてもらって戦争が終わるというストーリー。
演出のやり方とかを見てもこれはアメリカ人のみからの評価を狙って作った映画なのかな？と思わせるようなツッコミどころ満載だったので以下でそれについて個人的な感想を書いてみよう。
沖縄での両国の兵士の雰囲気に大きな違和感
観ていて一番の違和感を感じた点がこれだ。
そもそも沖縄に攻め込んでいるのはアメリカ軍。日本軍は自分たちの領土にまで敵が上陸してきているんだからもうかなりヤバイ状況。
それなのに、まず最初に主人公ドスたちの隊が沖縄に着いた時に、それより前から戦っていたアメリカ軍の兵士たちの雰囲気がまるで負け戦モード。
やたら日本兵を恐れてビクビクしている人もいたりして「じゃあ帰れよ」ってツッコミたくなる。
逆に、ハクソー・リッジと呼ばれている場所の地下に掘られた塹壕（坑道？）を歩き回ってる日本兵の雰囲気がまるで余裕モード。
何を言ってるのかちょっと聞き取れなかったが「腹減ったなー、ラーメン食いに行かねー？」みたいな雰囲気で若者が仲間と連れ立ってうろうろしているような雰囲気なのだ。
なわけねーだろ！
この映画「ハクソー・リッジ」の演出の仕方だけで見ると、まるでアメリカ軍が自分たちの国に攻めてきた侵略者たちを、何度も負けそうになりながらも、最後の最後にはなんとか追い払った戦いのようにしか見えない。そしてその勝利の影には戦争で誰一人殺さずに多くの仲間の命を救った英雄の活躍があった・・・みたいな。
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
なぜかハラキリ・・・
最後にアメリカ軍が勝つ時、戦争が終わるということを表すための演出なのか、沖縄ではなくおそらく日本の中心部（本部みたいなところ）にいる日本の偉い人が切腹するシーンがある。
それまで一度もその本部のようなところや日本の偉い人たちは登場していなかっためか、あの演出は非常に唐突で無理矢理感があった。
このハクソー・リッジがアメリカに占領されたことが直接的に戦争の終結につながったということなのかどうかとか詳しいことは私は知らないのだが、もしそれだとしてもあの演出はさすがにちょっとどうなんだろう？
アメリカ人が日本に対して持ってる「サムライ」とか「ニンジャ」とかのイメージをそのまま誇張し、アメリカ人の視聴者を喜ばすため（？）に作ったシーンだ。
切腹した人は横にいた兵士に介錯されるわけだが、その刀の切れ味がすご過ぎて首がスパーン！と切れて頭が落ちる。
切れ味凄すぎじゃね？？？あれも、サムライの刀という武器に対するアメリカ人のイメージをそのまま誇張されていて日本人から見ると「え？」少々あっけにとられた。
女性の口説き方が独特w
最後に、これはまあどうでもいいのだが、主人公ドスが映画の最初の頃に病院で看護師の女性ドロシーに一目惚れして彼女を口説くというくだりがある。
時間の関係なのだろうけど、これの展開があまりに早くて笑った。
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016
病院でドロシーを見て軽く会話をかわし、翌日にドスは再び彼女に会うために病院へ行く。そしてその後何日経ってるのか知らないが映画を観たりデートをする。
この過程でドスはいつもドロシーをまじまじと至近距離で見つめていて、映画館でも横にいるドロシーをジロジロ見ている。
映画館に行った時はもうある程度親しくなっていたかもしれないが、病院で出会ったばかりの頃にここまでジロジロ見られたら普通気持ち悪くないか？
主人公ドスは武器を持たないという信念を戦争で貫き通した人。
このような独特な女性の口説き方（？）も、強い信念を曲げない彼の性格が表されている行動なのかもしれない・・・
以上、映画「ハクソー・リッジ」を観た個人的感想でした。
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