FARGOシーズン1 第2話「おんどり王子」レビュー(ネタバレ)不気味マルヴォ、薄情レスター、優秀モリー

FARGOシーズン1

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おすすめ海外ドラマFARGOシーズン1の第2話は全体的に地味で派手さのないエピソード。
レスター・ナイガードの異様に薄情な人間性や、ローン・マルヴォの得体の知れない不気味さ、そしてモリー・ソルヴァーソンがその外見とは裏腹に非常に優秀で彼女無しでは事件の解決が期待できない状況などが描かれている。
タイトルが「おんどり王子」だが、おんどりというのは雄鶏のことのようだ。このタイトルは一体何を意味しているのだろうか??

ファーゴから来た二人の殺し屋

このおすすめ海外ドラマのタイトルになっている「ファーゴ」というものが何なのかはまだ分からないが、そのファーゴから送られてきたという二人の殺し屋は、サム・ヘスがなぜ殺されたのか、殺したのが誰なのか調べるためにこの街にやってきたらしい。

ローン・マルヴォもファーゴというのに関係しているのかと思ったが、彼はファーゴの人間ではないのか、それとも彼がサム・ヘスを殺した行動だけはファーゴとは関係無かったということなのだろう。
後者の場合、マルヴォはファーゴの関係者をうっかり殺してしまってまずいことになったのかもしれない。
いずれにしてもファーゴから来た二人はサム・ヘス殺しの犯人を捕まえて殺すつもりのようだ。

レスターに欠落した人間の良心

レスター・ナイガードが自宅に戻ると、まだ二つの血だまりが床にそのままになっていた。
彼は妻の部屋に行き、ヘアブラシに付いていた髪の毛をつまんでみたり、クローゼットの洋服の匂いを嗅いでみたりする。

普通だったらこのような場面では悲しくなって泣いたりするものだと思ったからか、あるいはそういうシーンをドラマか何かで見たからか、彼は妻の洋服を顔に押し当てながら泣こうとする。
しかし実際には泣くことはできない。
なぜなら彼の心には普通の人にあるはずの何らかの感情(あるいは人間の良心のようなもの)が欠落しているのだ。
それ故に、実際には彼は悲しくも寂しくもないのだから涙など出てくるはずがない。

泣いている赤ちゃん

この年齢まで自分に欠落した何かに気が付かなかったのか、それともローン・マルヴォという凶悪な存在に感化されて彼の中の何かが覚醒したのかは分からない。
レスターが一人で奇妙な泣き真似をしていると玄関のチャイムが鳴る。
その瞬間、彼は一瞬にして泣こうとしていたことすら忘れ我に帰る。

新署長ビルの先入観によって解決が遠のく

モリー・ソルヴァーソンは最初からレスター・ナイガードが怪しいと考えていた。
それを新署長となったビル・オズワルトに言うと、レスターは彼の同級生で、高校の時からかなりの臆病者だったので彼が関与している可能性は無いと決めつけていて全く取り合ってもらえない。
人はこのように強い先入観を持っている場合、それに反するような仮説に対しては否定するための材料にしか目を向けない傾向がある。
捜査に大きな影響力があるビル・オズワルトの先入観により、この事件の解決が大幅に遠のいてしまったのは間違いないと言えるだろう。

plan

ビルとモリーがレスター宅に事情聴取に行くシーンがある。
ビルは最初からレスターが関与しているわけが無いと決めつけているので、真面目に話を聞こうとしない。
モリーの質問に対してレスターが明らかに様子がおかしく、何かを隠している様子だが、ビルはレスターを疑わない方向にしか頭が回らなくなっている。
これはまるで先入観という名の魔法にでもかかったかのような状態だった。

ところでこの海外ドラマではモリーが優秀な刑事で彼女の功績によって事件が解決の方向に向かう。
しかし、モリーの外見はそもそも刑事っぽくないし、このような海外ドラマに出てくる優秀な正義の見方キャラクターに見えない。
これもまたひとつの先入観だ。

ローン・マルヴォの備わった殺し屋の才能

ローン・マルヴォが郵便局で荷物の受け取りをするシーンがある。
通常はIDを見せないと郵便物を受け取ることができないのだが、郵便局員はローン・マルヴォの得体の知れない不気味な雰囲気を恐れ、彼に言われるがままに郵便物を渡す。
マルヴォは直接的に脅しの文句を言っているわけではないし、外見も特に強そうには見えない。
前話でも警察のグレムリーが交通違反でマルヴォを取り締まろうとしたところ、得体の知れない恐怖を感じてマルヴォの言うがままに見逃してしまうシーンがあった。
これが彼に備わっている殺し屋の才能の片鱗なのかもしれない。

小包

ところで、本話ではガス・グリムリーが自宅で着替えている時、向かい側のアパートの住人がわざとグレムリーに下着姿を見せてくるシーンがあるのだが、これの意味が分からない。
この海外ドラマを全話見ても、ここから発生するストーリーは無かったような気がする。
むしろ、地域の住人の関係が良好で治安が良いという話が出てくるところはあったのだが、この下着姿見せるシーンが必要だったのかどうか疑問だ。

次のターゲットはスーパーマーケット王

マルヴォが自分宛の小包を開けると、そこにはスーパーマーケット王のスタヴロス・マイロスの著書と、IDカードのようなものが入っている。
IDカードにはマルヴォの顔写真が印刷されており、彼の職業は牧師ということになっていた。
つまり彼はこの時誰かから次のターゲットがスタヴロスであることを連絡され、さらに自分の偽りの身分を用意してもらったということだ。
彼はやはり一人で動いているわけではなく、どこかの組織からの指示で動いているということになる。
それがファーゴという組織なのだろうか。
そしてマルヴォはスタヴロスに近づくわけだが、話の流れを見ているとスタヴロスのほうからマルヴォを呼び出しているようだ。
スタヴロスは何者かから金のことで脅迫を受けているからその犯人を見つけるようにマルヴォに依頼する。
マルヴォはちょっとした証拠からあっという間にその容疑者を特定するが、それと同時に何か別のことを思いついた。
おそらくそのことはサム・ヘス殺しと同じようにファーゴとは関係ないマルヴォの独断の行動となっていくのだろう。

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